記事一覧へ
08/17/20

未来のビジョン:グリッチポップができるまで

こんにちは、シニアウェポンアーティストのChris Stoneと、シニアコンセプトアーティストのSean Bighamです。今回は"とある誤解"からグリッチポップのスキンシリーズが生まれ、VALORANTで最も派手な色使いの大胆なデザインになった経緯をお話しします。

グリッチポップの魅力は何と言っても、プレイヤーに未来的ファンタジーを感じさせるそのビジュアルです。マズルフラッシュやグリッチ装備エフェクト、ホログラフ投影、ステッカーなどはサイバーパンクをテーマとしており、一人称視点の素晴らしいビジュアル体験を提供します。

盛大な誤解

Article_GPoP_1.jpg

私たちはまったく別のスキンシリーズを開発していたのですが、コンセプトアーティストの一人がフィードバックを誤解し、そこから"メガパンク"と名付けたくなるような、個性的なデザインが生まれました。これを見たチームの他のメンバーは大盛り上がり。ただ、このデザインに光るものはありましたが、もう一押しする必要がありました。

テーマの終着点

グリッチポップはSFのサブジャンルとして絶大な人気を誇る"サイバーパンク"の新機軸を打ち出す絶好の機会でした。

とはいえ、サイバーパンクには素晴らしい作品が数多く存在しているので、特定の方向性に偏重することは避けたいと考えました。そこで、サイバーパンクというテーマを私たちなりの新たな視点で捉えることにしたのです。私たちは『AKIRA』、『攻殻機動隊』、『カウボーイビバップ』、『ラブ、デス&ロボット』、Josan Gonzalez、『オルタード・カーボン』、『Deus Ex』、『Ruiner』など、様々な人や作品からインスピレーションを受けています。このスキンシリーズでは伝統的な陰鬱でリアリスティックなディストピア的世界観ではなく、陽気でパンクなデザインに傾倒しようと決めました。そうした方向性を維持するため、私たちは"Playful but Deadly"(遊び心があって致命的)という言葉を考え出しました。

ここから、このスキンシリーズの柱となるキーワードが生まれました:大胆、カラフル、遊び心、ド派手。これらのキーワードはVALORANTというタイトルのトーンを固める前から決まっていたのです。実際、このコンセプトは(偶然とはいえ)うまくフィットしています。

Article_GPoP_9.jpg

もちろん古典的なサイバーパンクのテーマも参考にしています。

  • 企業が政治を支配する未来世界。企業のイメージ戦略や宣伝ではすべてがハッピーに見えますが、その裏にはディストピア的な要素が隠れています。
  • 企業は若い年代をターゲットにし、巨大企業であることを前面に出さず、楽しいキャラクターや明るい色彩でアピールしています。
    • 銃のステッカーは消費者の目には反体制的に見えるが、実はすべて企業のブランド。
    • 殺傷力のある武器と、明るい色彩やポップなステッカーという対比。
    • 実情とは大きくかけ離れたライフスタイルやカジュアルさ。

私たちはグリッチポップのあらゆる面にストーリー要素を織り込むことで、並行世界から引っ張ってきたかのような印象を持たせようと試みました。純正なサイバーパンク的テーマのなかでも比較的マイナーなものに着目し、それを前面に押し出すことで、ありきたりなデザインになるのを避けたかったのです。

コンセプトの進化

私たちのサイバーパンク観が非常に北米的であることは間違いありません。そこで、チームにいるロシア出身のコンセプトアーティストに、欧米のプレイヤーがあまり目にしたことがない要素を取り入れてもらうことにしました。彼が持ち込んだブルドッグのスキン初期案によって、「標準仕様を作成して、そこにパンクテイストを加えていく」というデザインへのアプローチが固まってきました。

0102

コンセプトアーティストのSean Bighamは外部パートナーと協力して、皆さんが現在のゲームで目にする銃器のコンセプトづくりを導いてきました。

開発初期の段階では、SFやサイバーパンクでお決まりとなっている、グレーのプラスチックや漏れ出す光、銅素材などを多く取り入れた「工場から出荷されたばかりの、モジュラー(組み立て)方式で作られたような量産型の武器」のデザインに集中していました。基礎となるデザインが決まったら、武器の個性を押し出す方法を模索して様々なアイデアを試し、サイバーパンクというジャンルに新たな切り口を生み出しました。

当初はコンセプトパートナーに様々なアイデアを掘り下げてもらいました。これによりそれぞれ独創的で、しかも私たちが設定したサイバーパンクのテーマ性を捉えたデザイン案が出そろいました。最終的にはコンセプトパートナーに、「店で購入した後、自分のニーズやスタイルに合わせて改造パーツでアップグレードした銃」というイメージでデザインしてもらうことになりました。

この"アップグレード要素"として、ロゴのホログラフ投影、デジタルグリッチのマズルフラッシュ、グリッチ装備エフェクトなどが導入されました。とはいえ、こういった要素をやみくもに散りばめることはせず、デザインの一貫性が保たれるように、一定の機能性を考慮したうえで銃に取り入れてきたいというのが私たちの願いでした。ブルドッグの場合、一人称視点で見ると、右側のバッテリーからホログラフプロジェクターに伸びる銅線があります。これはバレルに向かって伸びており、マズルフラッシュに繋がっています。

0102

デザイン的には、ステッカーやグリッチエフェクト、プロジェクターが目立つようにするのがよさそうでした。またカラーリングの面では、カーボンファイバーに映える色のグラデーションにまとめ、そこに銅の縁飾りが加わることでステッカーが目立つようにしました。

デザインパートナーは逐一ディレクションを与えなくても幅広いアイデアを出してくれました。彼らのスキンシリーズのデザインにかける情熱は大変なもので、探究を重ねて数々のアイデアを提案してくれたおかげで、当初のコンセプトがさらに発展していきました。

ロゴの進化(Sean Bighamの活躍)

0102

記憶に残るロゴは簡単には作れません。プレイヤーが自分の武器を飾るにふさわしいと感じるロゴとなると、さらにハードルが上がります。

私たちは、サイバーパンクな並行世界に"実在"するブランドをステッカーやホログラフで表現し、それらを使ってカスタマイズできるようにすることで、世界観を深めたいと考えていました。その際は明るいトーンとシリアスなトーンを混在させ、大企業の存在を感じさせると同時にパンクっぽさも感じさせる必要がありました。

デザインの観点からいうと、ロゴは企業名とうまくかみ合うべきであり、カッコいい画像に社名を重ねただけのようなロゴは望ましくありません。また、露骨なサイバーパンク風ロゴも避けたいと思っていました。お決まりの表現は少ないに越したことはありません。

最終的に、食品や飲料、警備をはじめとする様々なブランドを織り交ぜることにしました。なかでも、ヘアケアブランドのUnico Pomadeはみんなのお気に入りです。ほかにもNSSDLE、Mons Pain、Monster Burgerなどがチーム内では人気でした。おいしそうでしょう?

最初に作ったロゴは企業のお堅いイメージが出過ぎており、手作りの温かみに欠けていました。そこで私たちはその対極を目指しました。修正したデザインには手作り感がありましたが、逆に企業のイメージと結びつかないという問題が出てきました。その後調整を重ねて、ようやく適度なバランスに到達。企業イメージも感じさせつつ、遊び心のあるロゴができあがりました。

未来はすぐそこに

Article_GPoP_6.jpg

死に大きな意味はなく、明るくカラフルな装いに身を包み、恐ろしくも遊び心たっぷりのアティチュードで躍動する──グリッチポップの登場により、そんなディストピアな未来を垣間見ることができるスキンシリーズがVALORANTに誕生しました。

ぜひお楽しみください!