記事一覧へ

ロータス:VALORANTの失われた都市

共有:

インドの緑豊かな森の奥深く、そこには植物と建造物とテクノロジーが調和し、太陽エネルギーを増幅している場所があります。最新のサステナブルなパワープラントのことでしょうか?…いえ、古代の遺跡なんです。

花咲く都「ロータス」をご紹介しましょう。

隠された歴史

「ロータス」というコードネームのみで知られているこの遺跡は、何百年もの間、南インドの西ガーツ山脈周辺の深い森の奥に隠されてきました。探検家であり、冒険家であり、そしてヴァロラント プロトコルの最新メンバーでもあるハーバーは、遺跡の壁中に秘められた古代テクノロジーの噂を聞いて以来、何年もロータスを探し続けてきました。水の力を授けた遺物と出会い、チームメイトであるアストラの力を借りながら、彼はようやくロータスを発見して扉を開くことができたのです。

Episode 6のシネマティックトレーラー「REVELATION(発覚)」では、ハーバーとアストラがオメガアースに乗り込み、ロータスの謎を解き明かしながら、この聖地がヴァロラント リージョンの手に落ちるのを阻止しようとする様子が描かれています。ところが、遺跡に隠されていた古代テクノロジーは、2人の想像をはるかに超えるものでした。

特異な出来事がここで起きたのです。とても強力な…"花の力"が。そして、植物を利用したテクノロジーは、マップに入るやいなや姿を現します。

「アタック側スポーンから遺跡を見て、最初に目につくのは遺跡の上部や周囲に咲いている巨大な蓮の花です」リード エンバイロメント アーティストのGeorge “Riot Dadsquad” Sokolは語ります。「それと、マップ中に張り巡らされた巨大な蔓も見えるでしょう。これらは、レディアナイトの影響で異常な大きさに成長した植物です。蔓は遺跡内にエネルギーを供給するための導管でもあり、そのエネルギーがA サイトやC サイトの大きな回転扉などの仕掛けの動力となっています」

001-Valorant_Jam_AttackerSpawn_Overpaint_1Nov2022.jpg

アタック側スポーンエリアのペイントオーバーイラスト。巨大な蓮の花と、遺跡の壁に埋め込まれた緑の蔓が見える。

「私たちはこれを"ルートサーキット(回路)"と呼んでいます」リードコンセプトアーティストのBrian “Peppy Yambino” Yamは補足します。「これらの植物はレディアナイトによる突然変異で大きくなり、より多くの太陽エネルギーを吸収できるようになったという設定です。マップ内を探索すると、巨大な蓮の葉が格納された青いパネルを見かけるでしょう。これはマップ上の様々な仕掛けを動かすエネルギーを貯蔵するためのもので、この建造物を作った古代人は、エネルギーを蓮の葉に保存して取り出す方法を発見していたのです」

002-_Jam-Plant-Circuitry_WEB.jpg

マップのディテールは、"ルートサーキット"のテクスチャーといった細部まで、コンセプトアートの段階でデザインされている。

では、これらの植物は何にエネルギーを供給しているのでしょうか?実は、ロータスの建造物を作った古代人にとっては、ただ「見栄えのする銃撃戦の背景を造る」ということ以上に大きな目的があったのです。一体、その目的とは?

003-Oculus-Carvings.jpg

謎の人物を象った彫刻の初期イラスト。

リリーストレーラーでは、ロータスの調査にアストラが大きな役割を果たしている様子が描かれています。アストラの視覚アビリティーとマップ上の多くのビジュアル要素は、地球人とより大きな存在の間に繋がりがあることへのヒントとなっているのです」リードレベルデザイナーのJoe “Pearl Hogbash” Lansfordは説明します。「ロータスを建造した文明の人々は、ミラーバース内の強力な存在に気付いていたことが示唆されていて、その証拠は、マップのあちこちにある様々な祠や建造物の形状から見てとれるでしょう」

004_-_Valorant_Jam_B_site_Overpaint_1Nov2022.jpg

B サイトのペイントオーバーイラスト最終版。サイト上部の天窓から射す光が彫刻や謎めいた像を照らしている。

この遺跡の真の目的はまだ解明されていませんが、ハーバー含むヴァロラント プロトコルは、ロータスがこの建造物を作った人々の生活に重要な役割を果たしていたのではないかと推測しています。

現時点では、マップ内に描かれたディテールやヒントから想像するしか方法はありませんが、ストーリーが展開するにつれてマップに出現する、インタラクティブなストーリーのヒントも探してみてください。

水のように

コンペティティブで苦戦している時、「危険を察知したオーメンが助けに来て、ブロンズから抜け出せないかな…」と夢見るプレイヤーが大勢いるのは承知しています。ですが、そう何度も彼の盆栽のお手入れを邪魔はできません。現状、皆さんの悩みを解決する最善の方法は、最新のマップを覚えて、流れるようなプレイスタイルを利用する術を身に着けるということです。

ロータスには3つのサイトがあり、植物に覆われた各サイトは廊下や通路で繋がっているため、サイトからサイトへ速やかに、かつ容易に移動することができます。

「デザインの大きな目標は、円滑な動線を作ることでした」Pearl Hogbashは語ります。「ロータスは他のマップよりも、ラウンドが進行するにつれて、両チームとも柔軟に行動しやすくなるようにしようと考えました」

ロータスをユニークなマップとしている大きな特徴は、180度回転する2つの大きな機械式回転扉です。石造りの大きな扉は、完全に回り終わるまでに8秒かかり、回っている間は普段閉ざされている通路が開かれます。回転扉はそれぞれA メインとC メインの近くに設置されており、アタック側とディフェンス側のどちらからでも開けることができます。また、開発チームが目標とした"滑らかさ"を実現するため、A サイトとB サイトの間には破壊可能なドアを追加し、ドアを壊すことで通路が現れる仕組みにしました。

005-Breakable-Door.jpg

破壊可能なドアには、コンセプトに相応しい青い蓮が描かれている。

「両チームとも、サイトやエリアの間を迅速に行き来できます。例えばですが、誰かをB メインに配置して、扉操作の主導権を握るという戦術も使えるでしょう」Pearl Hogbashは付け加えます。「また、オーディオとミニマップの表示も心理戦の面白さを高めています。ヨルはテレポートを使って片方のドアを起動した後、もう一方へ移動することが可能ですが、そのような戦術を取らないという選択もあります。開発の主な狙いは、どちら側のチームにも、移動とユーティリティーの使い方について面白い選択肢を用意することです」

006-Jam-Door.jpg

デザインについてのメモが記されたコンセプトイラスト。元となった画像右上のグレーボックスのテストマップにも、同じドアの機能が見られる。

これらの機能はすべて、アタッカーがマップ内を素早く移動したり、ディフェンダーがサイトを奪還したりする際に、戦術的かつ満足感のあるゲームプレイを楽しめるように設計されています。デザインチームはこのコンセプトがきちんと機能するよう、長い時間をかけてグレーボックスのメッシュで検証を行いました。(グレーボックスとは、アートや環境のディテールが追加される前の段階の、最低限の要素で構成された骨組みだけのマップのことです。マップや環境のデザインの詳細については、こちらの記事をご覧ください。)

「グレーボックスでは入念な検証が行われます。プレイテストの初期段階では、1試合で20個もの改善点が見つかったりもしました。数か月をかけて徐々にマップを洗練して、それからようやくアートプロダクションにバトンを繋ぐのです」Pearl Hogbashは説明します。「他にも、高度なスキルを持ち、分析力に優れたゲームプレイアナリストで構成された、素晴らしいチームもあります。マップが実際にどう機能するかを理解する際、問題のある箇所を指摘して、その修正を手伝ってくれたり、私たちが思い描いているアイデアの実証をしたりして、大いに貢献してくれました」

このように、ロータスのグレーボックスが十分に磨かれてから、次はアーティストへと手渡され、マップの広大さ、美しさ、そして紛れもない"VALORANTらしさ"を表現するための作業が始まります。

B サイト、C サイトおよびディフェンス側スポーンのグレーボックスモデルの上に描かれた環境のコンセプトアート


古代の世界を見つめる

オメガアースは架空の世界ですが(少なくとも私たちが知る限りでは)、モデルとなっている場所は実在します。そう、お察しの通り──地球です。したがって、VALORANTに登場するマップや人物なども、実在する場所や人からインスピレーションを得ています。

「新しいマップのテーマを選定するプロセスで、最終的に古代的な場所というテーマに定まりました」Peppy Yambinoは振り返ります。「そこで選ばれたのがヨルダンのペトラ遺跡です。ペトラ遺跡は、岩を削って造られた非常に興味深い遺跡です。そしてそんな時に、インド人のエージェントを開発中であるという情報が入ってきました。調査をしてみると、インドにもペトラ遺跡と似た古代建築物があることが判明しました。点と点がつながった瞬間です。そこで私たちは、インドについて詳しく調べてみることにしました」

ロータスの複雑な古代遺跡の構内は、ドラヴィダ建築や、インド各地に1500ヵ所以上存在する岩を切り出した建造物から着想を得て制作されました。ドラヴィダ人は、主に南インドとアジア諸国に居住する大きな文化的集団で、ドラヴィダ語族の言語を話す人々です。現在、ドラヴィダ語族の言語を母語とする人々は2億5000万人以上います。ドラヴィダ語族は世界最古の言語グループのひとつであり、オメガアースでもそれは同じです。

010_-_Rock-cut-Example_Concept.jpg

011_-_Rock-Cut-Style-Guide.jpg

岩を切り出した構造物やドラヴィダ建築から得たアイデアを、アートチームがロータスに取り入れた初期コンセプト。

「ロータスは、インド学の博士であるDr. Fiza Vasudevaと共同で開発を行いました。Dr. Vasudevaはインド出身の学者で、ハーバーについても専門的な助言をいただきました」Pearl Hogbashは。「求める建築とデザイン要素について多くのリサーチを行ったうえで、マップのクリエイティブガイドを完成させました。そこから文化的な真正性についてDr. Vasudevaの監修を受け、アドバイスや加えるべきディテールを教えていただきました」

文化的要素については常に慎重に考慮していますが、ゲーム開発では時に偶然の産物が誕生することも…チームは意図した通りのものを作る努力をしているものの、たまに「なぜか上手くいく」ものに出会うことがあるのです。

その一例が、TikTokやYouTubeで大人気のトピックである「ラインナップ」です。デザインチームがマップを設計しているとき、ラインナップについてはどの程度考えているものでしょうか?

「個人的には、ラインナップは好みではないですね。主にブリムストーンとブリーチでプレイしていますが、ラインナップは無いものとして考えています」Pearl Hogbashはニヤリと笑います。「開発では、クロスヘアの高さのためにエリアを測定したり、スモークやモロトフのために通路の幅を検討したりと…重要なアングルについてはかなり注意深く検証しながら作っています。ですが、特定のユーティリティーのラインナップに関しては、そのような設計は意図的にはしていません。アートがそれとなく目印となるように任せています」

絶景や巨大な蓮の花以外でロータスを美しく彩るものがあるとすれば、それはアートです。マップ内を移動する中で、皆さんはゾウやパンサー、コブラ、クジャクといった西ガーツ山脈の動物を象った壁画や彫像を目にするでしょう。

014_-_Mural_M0_CobraA-copy.jpg

ロータスの至る所に見られる古代の壁画。ぜひ足を止めて、鑑賞してみてください。ですが、あまり長く立ち止まらないように…


その他にも、遺跡にはオメガアース固有のディテールが散りばめられています。Episode 5で登場した新勢力「アトラス」も、前進作戦のための物資をロータスに送り込み始めました。当然、ロータスにあるレディアナイトテクノロジーに関心を持っているのは、ハーバーとアストラだけではありません。

017_-_cropped_atlasboxes_thumbs-(1).jpg

ロータスに設置されているアトラスの小型の箱のコンセプトアート。

アストラの言葉を借りれば、「凄まじいパワーを蓄えている…知らないことだらけだね」ということです。

これから徐々にロータスの秘密が明かされていくでしょう。遺跡を舞台にした戦いは、まだ始まったばかりです。

タグ:

We arewaiting

Related content