ヴァイス: 適応か、死か

どんなバラにも棘はある。だが、致命的なのは特別なバラだけだ。

デュエリストたちよ。新たなる脅威、ヴァイスに備えろ──液体金属の棘を操る、VALORANTの新たなレディアントの登場です。 

センチネルであるヴァイスの能力は、彼女の領地スパイク設置エリアに不用意に侵入しようとする者たちにとって、非常に手強いものとして設計されています。彼女の主な抑止力は、体内を流れるレディアナイトを含んだ金属合金から生まれるものです。ヴァイスはこの金属を自由自在に操り、敵を翻弄するユーティリティーを作り出します。そして、そのユーティリティーを使ってチョークポイントを罠へと変貌させ、命知らずな捕食者たちすらも彼女の獲物としてしまうのです。

「今年3月、コンペティティブの対戦でのコントローラーの使われ方に応えるものとしてクローヴが登場しました。そして、その考えをさらに拡大させたのがヴァイスです。彼女は現在の試合で見られるスペースを確保するプレイという視点──つまりデュエリスト──に対する返答です」と、エージェントチームのリーダーであるJohn “Riot MEMEMEMEME” Goscickiは語ります。「要するに、彼女は無鉄砲にサイトへ突撃してくるチームへの対抗策なのです」


では、あまりにも攻撃的なエントリーフラッガーたちを、ヴァイスはどのようにして止めるのでしょうか?その答えは実にシンプルです。

彼らを孤立させ、無力化し、そして支配するのです。

シアー

「実は、ヴァイスの壁は彼女のアビリティーでいちばん最初に欲しいと考えたものです」とヴァイスのエージェントデザイナーであるKevin Meierは言います。「私たちは、巣で待ち構える蜘蛛のように彼女をイメージしていました。セージが壁で敵を戦略的にチョークポイントで止めるのとは違い、ヴァイスは敵を引き寄せてから、一気に襲いかかるスタイルです」

ヴァイスのサイトに踏み込んだ敵が最後に見る光景。

しかし、この戦略を実現するためには、まず獲物を孤立させる必要があります。通常、設置ユーティリティは撃たれると壊れますが、シアーは破壊不能です。ただし、その代償として、セージやデッドロックのバリアと比べて持続時間がはるかに短く設定されています。

「ヴァイスはユーティリティと銃撃戦を組み合わせて積極的に状況を制圧するタイプであり、他のセンチネルがより隠密なスタイルであるのとは異なります。ヴァイスにとって効果的なコンボは、壁の設置後にフラッシュを使うことです」とKevinは説明します。「敵を分断したとしても、それを活かして倒さなければなりませんからね。だからこそ、彼女にフラッシュを持たせました」


アークローズ

「センチネルは、それぞれのツールが多様な用途を持ち、単独で使用しても、他の能力と組み合わせても非常に優れた効果を発揮する点が特徴的です」とKevinは言います。 

ヴァイスのフラッシュは、センチネルとして特にユニークです。他のセンチネルにはフラッシュを持つ者はおらず、ゲーム全体を見渡しても、彼女のフラッシュのようなものを持つエージェントはいません。ヴァイスの「アークローズ」は、マップ上の任意の場所に設置でき、任意のタイミングで起爆できるフラッシュです。このフラッシュを持つセンチネルがチーム編成に与える影響について、チームは大いに期待しています。

サイトに突入したレイズを迎えたのは、巧妙に配置されたアークローズでした。

「ラウンド開始前に設置されるフラッシュはセットアップにおいて非常に強力で、彼女の領地に侵入してくるプレイヤーをデバフすることを目的としています。彼女のアビリティーの中で、チームとの連携プレイにうまくシナジーを発揮するもう一つの防御ツールです」とKevinは付け加えます。

さらに、このフラッシュはヴァイスの金属製の植物というテーマにもぴったりです。

アークローズのコンセプト・アートのクローズアップ画像。

「ラウンド前にすべてをセットアップするという手順からは(不思議なことに)庭の手入れが連想され、そこにはある種の優雅さと気配りが感じられます」とRiot MEMEMEMEMEは微笑みながら言います。「フラッシュをただのスポットライトにすることもできましたが、それでは面白くありません。花が開いたら目をくらませるというアイデアは面白いですよね?」

レーザーヴァイン

「開く」といえば、より痛みを伴うアビリティーがもう1つ。ヴァイスには発動するまで視認できない地面設置のアビリティーがあります。発動すると、レーザーヴァインが巨大な金属の巣のように広がり、敵が動くたびにダメージを与え、移動速度を遅くするだけでなく、かなりの音を発生させます。 

有刺鉄線のように、その場所を通ろうとしなければ危険ではありませんが、もしレーザーヴァインの中に入ってしまった場合は、その場でじっとして、近くにいるヴァイスとの戦闘に備える必要があります。

おそらく、フェニックスはレーザーヴァインの中で動いてしまったのでしょう。レイナはこの状況をしっかりと理解していたようです。

「テストプレイでは、壁を作るのと同時にレーザーヴァインをチョークポイントの前に設置して発動させるプレイヤーも見られました」とKevinは語ります。「一方で、レーザーヴァインを積極的にレーンに向けて配置し、音の手がかりを得ようとする面白いコンボもありました。その後、敵がそこから出ようとする瞬間を狙って追撃するか、少し時間を稼ぐためにそのままにしておくこともできます」

スチールガーデン

ヴァイスのアルティメット「スチールガーデン」は、彼女のアビリティーの中でも特にユニークです。彼女のフラッシュ、壁、そしてレーザーヴァインは既存の能力に新たな解釈を加えたものですが、スチールガーデンはVALORANTにとってまったく新しい挑戦となります。

スチールガーデンがサンセットのAサイト全体に広がる中、Aエルボーの壁に巧みに設置されたアークローズが爆発を引き起こします。

「ヴァイスのアルティメットでは、彼女とそのチームに銃撃戦での優位性をもたらしたいと考えました」とKevinは説明します。「このアビリティーは、プレイヤーのプライマリ武器が一定期間ロックされるジャム(動作不能)状態を作り出します。ピストルやアビリティーは使用できますが、それでも銃撃戦で優位に立てますし、低予算ラウンドでヴァイスのアルティメットが発動できれば、敵の優位性を打ち消すことができます」

スチールガーデンによりジャム状態になったソーヴァのヴァンダル。


ヴァイスを使用するチームや対戦相手となるチームにとって、スチールガーデンはチームのエコノミーにも大きな影響を及ぼすでしょう。ピストルラウンドの強者たち、今こそあなたの出番です。

互いを高め合う関係

Riot MEMEMEMEMEは次のように語ります。「ヴァイスのアビリティーは、プレイヤーたちがVALORANTを従来の戦術的サイクルとは異なる形でプレイしていることを受けて作り出されました。現在、私たちはゲームの進化に対応しながら、コアゲームの開発時には想像もしなかったようなエージェントを生み出すことができる段階に来ています」

ゲーマーの皆さんに感謝を。戦場で革新を続ける皆さんの力は、VALORANTの開発チームにその進化に応えていくための力を与えています。ヴァイスのデザインは、2024年のVALORANTにおける新しいゲームプレイの需要やニーズを満たすことを目指しています。彼女がデュエリストメタに対する万能の解決策というわけではありません。反撃のチャンスはまだ十分に残されています。

「現在のメタにいる多くのセンチネルと比較した彼女の最大の弱点は、直接的なレーン監視能力がほとんどないことです。サイファーはカメラと複数の侵入を阻む術を持ち、キルジョイはタレットとアラームボットで複数のレーンを監視できます」とKevinは説明します。「そのため、広いマップやスパイク設置エリアが3つあるマップでは、ヴァイスは苦戦する可能性があります。しかし、狭い通路が多く、プレイヤーを確実にロックアウトできて奇襲の監視があまり必要ないマップでは、彼女は活躍すると思います」

最後の仕上げ

ゲーム内でヴァイスが残したいくつかのボイスメールを見つけると、彼女がただ者ではないことが次第に明らかになります。まだ多くが謎に包まれている彼女のバックストーリーですが、その頭のアンテナの間にはかなりの頭脳が備わっていることはわかっています。

「ヴァイスをプレイしているプレイヤー自身も、敵の動きを先読みして、その対応策を練ったりしながらスマートな気分を味わってほしいと考えました」と、ヴァイスのリードナラティブライター、Conor "fizzNchips" Sheehyは語ります。「それに加えて、クローヴやゲッコーのようなエージェントとは一線を画す、よりダークなキャラクターをヴァイスに求めました。そこで、少しモンスター的な要素を取り入れたんです」

この「モンスター的要素」のアイデアは、コンセプトアーティストのKonstantin “uRude” Maystrenkoと3DアーティストのRosa “Red2Blue” Leeにもすぐ共感を得られたのと同時に、VALORANTのような競技性の高いシューターで重要となるシルエットのデザインにおいて、少しだけ自由な発想を取り入れることを可能にしました。

「エージェントのデザインで重要なことの1つは、遠くからでも誰だか分かるユニークなシルエットに仕上げることです。新しいエージェントが登場するたびに、そのシルエットを際立たせる方法を見つけるのがますます難しくなっていますが、ヴァイスの場合、頭のアンテナが彼女のシグネチャーになっています」とuRudeは説明します。「さらに、彼女のデザインにはバラのモチーフが組み込まれており、ショルダーパッドに深みを与えています。また、ボトムスに施されたパターンは、実は液体金属でできた棘を表現しています」

コンセプトアートからすでに脅威を感じます。


「彼女の棘のテーマを強調したかったんです。正面から見ると、彼女のヘルメットのアンテナは非常に鋭い棘のようですが、アンテナは角のようにも見え、それが彼女を少し悪魔的でモンスターのように見せていると思っています」とRed2Blueは言います。

「人によっては猫耳のように見えるかもしれませんね。彼女のかわいいファンアートが登場するのが楽しみです」とuRudeは微笑みます。

それでは、戦場ではお気をつけて。このバラには命を奪う棘があります。