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VALORANT 連載「システムの健全性」 - AFK

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編集者より:この記事はVALORANTのゲームシステム上の様々なトピック、特にコンペティティブとソーシャル&プレイヤーダイナミクスの領域での問題を深く掘り下げていく連載企画の一部となっています。連載の趣旨については「はじめに」をご一読ください。

こんにちは、VALORANTのソーシャル&プレイヤーダイナミクスチームのBrian ChangSara Dadafsharです。今回の記事では、AFK(Away From Keyboard=離席)行為の検出と削減に向けた、これまでの取り組みと現況について詳しくお話ししたいと思います。

はじめに - AFK問題とは何か

「AFK」状態とは、進行中の試合から途中退出したか、あるいは試合に関与していない状態を指します。マルチプレイヤーゲームの多くがこのAFKに絡んだ問題を抱えており、そしてすべてのチーム制の競技マルチプレイヤーゲームが、程度の差こそあれ、この問題に立ち向かっています。

VALORANTも例外ではありませんが、それでも妨害行為を抑止することはできると考えています。試合中のAFKは競技の公正さを損なうものであり(4対5の試合は不公平です)、結果としてゲーム全体の楽しさまで損ねてしまいます。これがプレイヤーのために解決すべき課題であることは、ソーシャル&プレイヤーダイナミクスチームの立ち上げ前から認識されていました。

今年始め、AFKを抑止する取り組みについての最新情報を(他の様々な内容と共に)お届けした際、それまでに行ったAFK対策と、そして当時まだ進行中だった取り組みについてお話ししました。

ここでAFK問題に取り組むにあたり、気を付けた点がいくつかあります。

  • 「ツイてなかった試合」を罰しないこと。事故(猫が「偶然」電源コードを引っ掛けてしまうなど)はどうしても起きるものであり、不可抗力のアクシデントまで罰するつもりはありません。
  • 誤検出のない、拡張性の高いAFK検出方法を探ること。一時的に息を殺して物陰に隠れているだけなのに、AFKと判定されてしまったら最悪でしょう。
  • 私たちの対策が功を奏しているかどうか見分けるための、明確な目印を定めること。私たちの取り組みの成果が出ているか、それとも皆さんが相変わらずの頻度でAFKプレイヤーに遭遇し続けているか、こういった基準なしで把握するのは難しいでしょう。

これまでの取り組み

AFK検出のため、初めてシステム方面に踏み込んだのは今年3月のことです。この(取っ掛かりとして用意した)最も単純なシステムは、試合中に回線が切れたか、あるいは長時間ずっと微動だにしていないプレイヤーを探知するというものでした。

大半のAFK行為(回線障害から「キレ落ち」、そして猫によるものまで)はこれで対処できるのですが、改善の余地も残されていました。具体的には「悪意あるAFKプレイヤー」…つまり自らの意志で試合に関与しないものの、何かしらの行動は続けているため回線を切断されない人々には、対処しきれていなかったのです。わざと他のプレイヤー、特にチームメイトのゲーム体験に水を差そうとする人々──こういった人々への対処は、往々にしてとても難しくなります。

こういった状況に対処するため、AFK行為と結びつく特定の行動や測定基準を監視する、様々なトラッカーを設定しました。このトラッカーについて詳細を明かすことはできませんが(AFKの検出方法を明かしてしまうと、悪意ある人物に回避されやすくなってしまうため)、ここでの私たちの目標は、検出のプロセスをかなり柔軟に拡張できるようにすることでした。新しい迷惑行為や検出方法を特定した際、システムを対応させる(そして特定の行為が見つかった時に対処する)のがとても簡単になるからです。

そして最後に、AFKに対する罰の適正化(たまたまAFKしてしまった人は大目に見る一方で、常習犯には厳しく)を図りました。そのために用意したのが、プレイしたすべての試合でのAFK行為をトラッキングする、各プレイヤーごとのAFKの「レーティング」です。このレーティングはAFKをすればするほど下がっていき、またその後の違反行為に対する罰も厳しくなっていきます。

言い換えれば、滅多にAFKしない、または過去にしたことがないプレイヤーであれば、レーティングも良好でしょうから、もし不可抗力で試合中にAFKしてしまったとしても、(警告メッセージが表示される程度で)厳しい罰が科されることはないはずです。

逆に毎回キレ落ちを繰り返していれば、レーティングが下がるにつれて警告メッセージからXP没収、対戦待ち制限、そしてついにはゲームへのアクセス禁止…と、あっという間に罰が重くなっていきます。そして罰が重くなるごとに、彼らは処罰を受けた理由と、今後控えるべき行動を、繰り返し説明されることになります。後で知らなかったと言われても困りますので。

またデスマッチからの途中退出といったような、エッジケースについてもきっちりと対応しました。デスマッチでAFKを行った場合、最も重い罰はその時参加していた試合のXP没収です。デスマッチでAFKしてもチームメイトのゲーム体験には影響しません(他の全員が敵なので)が、その一方で相当数のアカウントが、デスマッチの試合に入ってAFKすることでXPを稼いでいたことも把握していたため、このような対応となりました。

その結果は…

ここまでお話しした対策も、実際にVALORANTのゲーム体験に反映されていなければ何の意味もありません。ではどうすれば効果が確認できるのでしょうか?

それを調べるために、今回は2種類のデータを用意しました。データについて語るだけでも記事が1本書けそうですが(計測の方法、潜在的バイアス、その他諸々)、ここでお見せするのは私たちの評価材料の一部です。

  1. 検出されたAFKプレイヤー数の推移

AskVal_December_2021_Graph_1_JA.jpg

まず初めは、アンレートおよびコンペティティブの試合で検出された重AFKプレイヤーの比率(1試合あたりのAFKプレイヤー数)の推移です。このグラフにおいては、1試合中の6ラウンド以上でAFKが検出されたプレイヤーを「重」AFKプレイヤーとしています。

正式リリースから最初の6ヶ月あたりまでのAFK率はずっと横ばいですが、2021年の頭からAFKプレイヤーの検出数が下がっているのが分かります。これは私たちがAFKの検出とペナルティを強化し、実装した時期と符合します。

ざっくり言えば、試合中のAFK率は過去1年間で半分以下になったのです。現在は以前よりも低い数値で、再び横ばいの状況となっています。

  1. AFKの報告数

検出された違反をいくら吟味しても、システムに検出されていないAFKの実態までは分かりません。全体の傾向としてAFKプレイヤーが減っていることは私たちも確信していますが、まだ改善の余地が残されているかどうかは分からないのです。本当に皆さんがAFKプレイヤーに遭遇する回数が減ったと感じられているかを確認する方法のひとつは報告数を見ることです。

AskVal_December_2021_Graph_2_JA.jpg

上のグラフはAFKの「報告率」、私たちの元に届いたAFKプレイヤーの報告の数をプレイ時間で正規化したもの。そして下のグラフは、そのAFK報告率の今年頭からの推移です。ご覧のように、報告率は3月に大きく減少し、現在は1月と比べて17%程度まで低下しています。

一方で報告「しなかった」ケースの存在についても考慮すべきですが、他のAFKとは異なるカテゴリーの報告率の推移と比べてみても、これは私たちの取り組みによる大きな成果と言って間違いないでしょう。

より良い検出方法と、より良い情報公開を

これまでの取り組みとして、AFKプレイヤーを検出し、処罰/抑止するために導入した様々な検出方法や対策が、試合中に発生するAFKの頻度に対して一定の効果を挙げていたことは、良いニュースと言えます。

しかし、やるべき事はまだまだあるのです。

まず第一に、検出方法の改善を続けること。AFK問題に取り組み始めて以降、私たちはAFKに準ずる他の行為にまでシステムの裾野を広げてきました。プレイヤーのAFK方法がより「巧み」になるのに合わせて、検出方法もそれに対応させる必要があります。またそういった巧妙なAFKのテクニックに対応することが、意図的なフィーディングや嫌がらせ、ボットアカウントによる自動ファームのような、技術的に近い迷惑行為の対策にも繋がるのです(これについてはまた別稿で)。

次に、皆さんに情報を提供し続けること。VALORANTのコミュニティーをより良いものにする取り組みの「過程」と「結果」をちゃんとお伝えすることは、私たちの約束のひとつです。これは皆さんからのご要望であり、そして私たちがこの連載記事の執筆を思い立った理由のひとつでもあります。

これから先も、AFK数のさらなる削減に向けた取り組みの状況や、何か別の迷惑行為についての検出方法や対応のお話など、ゲームの現状に関する報告は続けたいと考えています。そしてその見返りとして私たちが求めるのは、VALORANTをより安全で楽しい場所にするため、気になる箇所についてのご質問やご意見、フィードバックを皆さんに続けていただくことです。

Twitterでお声がけの際はこちら、またはこちらにお願いします(他にもありとあらゆる場所にいますが)。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。次回は試合中の悪質行為(フレンドリーファイア、妨害工作、意図的なフィーディングなど)についてお話ししたいと思います。

それでは!

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